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子どもの「好き」を一緒に楽しむ。

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今回は、大学生でありながら、プロジェクト型の学習教室「あむラボ」と、学校へ行けない事情を持つ子どもたちのためのフリースクール「アトリエあす」を運営する、小森史靖さんにインタビューしました。小森さんが子どもたちと関わるときに大切にしていること、小森さんにとっての「サードプレイス」に迫ります。

小森 史靖(こもり ふみや)さん

静岡大学 経済学部2年

子どもたちの豊かな体験活動・学習機会の確保、子どもたちと社会とのつながり強化を目指して、2つの学習教室の運営に関わる。静岡市のアウトプット型・PBLスクール「あむラボ」は、子どもたちのやりたいことをともに実現するプロジェクト型学習教室。学習者は子ども自身。興味関心からテーマを決め、学生メンターと遂行していく。「アトリエあす」は、学校に行けない小中学生を対象とした無料のフリースクール。家でも学校でもない、新しいマナビバとして、子どもたちの「つくってみる」をサポートしている。

子どもとの関わりを通じて、小森さんが伝えたいこと

編集チーム:「あむラボ」「アトリエあす」の活動を通して、「これだけは伝えたい!」という思いはどのようなものですか?

小森さん:子どもの好きなこと・挑戦してみたいことを、子どもと一緒になって楽しむという点です。
たとえば「不登校」と聞くと、悲壮感・支援の対象としてとらえられることが多いと思いますが、実際に子どもと関わっていると、まったくそんなことはないと感じます。むしろこちら側が「支援」の認識でいると、子どももそれを察して、「自分は助けられる対象なんだ」と申し訳なさを感じてしまうんです。それだと子どもは自身の好きなことも言いにくくなってしまいます。

ですので、支援というよりも友達に近い感覚で接することが重要だと思っています。
その関わりの中で、こちら側がなんでも与えるのではなく、その子の元々持っている力・好奇心を信じることも大切だと考えています。

「あむラボ」「アトリエあす」の活動で見えてきたこと

編集チーム:小森さんは子どもと1対1で関わる中で、新鮮だなって感じた経験はありますか?

小森さん:あるとき、なぜだか分からないけれど、「火をおこしたい!」と言う子どもがいたんです。初めて言われたことだったので、どういう欲求なんだろうと気になりつつも、僕らもその子の思いを否定しませんでした。毎週違った方法で一緒に火おこしをしていると、今度は「かまどを作りたい」というようになりました。そしてその次は「ピザを焼きたい」と。最終的には一緒にピザを焼いたんです!ひとつ一つクリアしたら次の段階の欲求に移るのがいいですよね。

最初は理解しがたかったけど、何か決めつけずにとりあえず一緒にやってみる、そうすることで面白いことにつながります。

あくまで子どもを第一に考えて、誰しもが持つ興味の火種に上手く酸素を送り続けられるような関わり方をしていく大切さにあらためて気付かされましたね。


工作に夢中になる子どもたち〈アトリエあす〉

子どもとの関わりの工夫

編集チーム:不登校になると無気力になり、何事にも興味をもてなくなる子もいると思います。子どもたちの興味を引き出す工夫や観察する部分を教えてください。

小森さん:まずは、今まで好きになったもの、ハマったもの、気になったものの推移を本人や保護者に聞いています。過去を聞くことでそれに関連して興味を持てるものを紐解いていけるのかなと思います。

ただ、自分からそういう話ができる子ばかりではありません。そういう子に対しては、スタッフ側から「これを一緒にやってみない?」と声をかけます。そうすると子どもから反応があって一緒に楽しめたり、興味を見つけられたりします。こうやってスタッフ側も子どもとフェアに楽しんでいくことで子どもにいい影響があるんじゃないかなと思います。

小森さんにとってのサードプレイスとは?

編集チーム:サードプレイスにかける思いをお願いします!

小森さん:サードプレイスには「創造的安全基地」の要素が必要ではないかと感じています。自分のやってみたいことが積極的に芽生えるためには、安心して自分の時間を過ごせて、自分の創造的な意思決定ができる空間・話を聞いてくれる空間である必要があると思うんです。

子どもたちの安全のもと、創造的な気持ちを後押しするサードプレイスがもっと増えたらいいなと願っています。

編集チーム:子どもたちがサードプレイスを見つけるにはどうしたらいいでしょうか?

小森さん:自分を知ること」が大切です。
クランボルツの計画的偶然性理論にあるように、将来の自分や将来の自分キャリアの8割は偶然で決まると言われています。だからこそ、まず現在の自分に目を向けて、「自分は今どんな状態なのか」「どんな居場所を心地よいと思うのか」など哲学的な問いを考えることが大切です。

その後で、自分の好きなことや得たいことが分かってきたらそれをどう表現するか、発信するかを考えることが大切です。私たち大人も一緒になってその方法を考えることで、子どもは人とのつながりが増えたり、新たに面白いと思えるものが見つかったりします。自然とサードプレイスが見つかっていきますよ。

私たちにできることとは?

編集チーム:子どもたちに対して、子どもに関わることの多い私たちがファーストステップでできることとはどのようなものでしょうか?

小森さん:ぜひ自分の「好きだな」って思うことを自分らしく追究していってほしいです。自分が好きでしょうがなくやっていくうちに、新たに見えてくる景色があると思います。色々経験して見えてきた景色を子どもたちにシェアする構図が美しいなと。互いの「好き」を共有して一緒に楽しむことが大切ではないでしょうか。

昨年(2023年)のTES(Tokyo Education Show)で小森さんは、『不登校からはじまる自由な世界~世界中の新しい世界を届ける 新世界への修学旅行~』に、早川芽生さん(「新世界への修学旅行」代表)、葉一さん(教育系YouTuber)とともに登壇した。

 

編集後記

お話をうかがって、「子どもと一緒に楽しむ」という視点の大切さを学ぶことができました。子どもたちの個性を発揮できる、安心できる居場所がこれからもっと増えていくことを強く感じる機会でした。
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TES登壇者インタビューの記事はこちら

登壇者の目にうつった教育祭典の景色【TES×edumotto第3弾】

 

取材/編集 居倉優菜 小沢真奈