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みちしるべ

“あなたの輝きがわたしの歓び” マネージャー経験から現在につながる思い

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石山加織さん 【第10回みちしるべ】

東京学芸大学に通う学生がインタビュアとなって、さまざまな分野で活躍する卒業生が歩んできた道のりや将来の展望にせまるコーナー「みちしるべ」。第10回のゲストは石山加織さんです。会社員とフリーアナウンサーの二足のわらじを履く石山さん。在学時代に熱中した部活動での経験が、教員生活や現在のお仕事にも通じているようで…?

 インタビュア:入戸野舞耶 山内優依

石山加織 さん

2010年度に東京学芸大学教育学部C類特別支援教育専攻を卒業後、小学校教員として1年間勤務したのち転職。現在は株式会社リクルートに勤務する傍ら、フリーアナウンサーとしてスポーツイベントのMCなどでも活躍している。在学時代は硬式野球部のマネージャーを務めた。

「特別支援教育」との出会いと、部活動という大きな存在

入戸野:学芸大学を志望した動機について教えてください。

石山さん(以下敬称略):大きく3つありました。1つ目に、国立大学であること。2つ目に、高校時代から務めていた野球部のマネージャーを、大学でも強豪チームのもとで続けたかったこと。3つ目に、将来は教育分野に関わりたいと思っていたこと。それらが叶えられるところを探したときに、自分のなかでヒットしたのが学芸大学でした。

とはいえ、教育にどのように関わりたいかを明確にイメージできていなかった時期もありました。そこで、どの職種や業界に行っても通じるものってなんだろうと考えたときに、「特別支援教育を学んでおくのは大事かな」と思いました。入学当時は、「障害児教育」から「特別支援教育」に名称が変わった時期で、その考え方が世間や教育界でも更に重要視され始めたころでもありました。興味もあったので、専攻にすることにしました。

山内:教員になるには教育実習に行くのが必須ですが、そのときの思い出はありますか?

石山:3年次に附属小金井小学校、4年次に附属特別支援学校の幼稚部に行きました。小学校は優秀な子どもが多く、教育実習生慣れしている部分もあって、楽しさのなかにも学ぶところがたくさんありましたし、特別支援の幼稚部は全国的にも少ないこともあって貴重な経験となりました。幼稚部では活動計画を立てて先生方に相談にのってもらいつつ、子どもたちと一緒にわいわいと賑やかに過ごし、毎日があっという間でした。とにかく、子どもたちが本当にかわいかったです。

山内:野球部のマネージャーとしての仕事内容や、経験について教えてください。

石山:普段はグラウンドに出て、選手の練習のサポートや、ホームページやブログの更新、学内外へのポスター掲示などの広報活動をしていました。また、連盟の事務局として試合の運営全般にも携わっていました。どの日にどの試合をやるといった設計や、天候が悪いときの試合可否の判断も学生中心に行っていました。

「どうしたら選手たちやこのチームをPRできるのだろう」「たくさんの方に試合に足を運んでいただくためにはどうしたらいいのだろう」と、チームのブランディングを考えるのは楽しかったです。いまの仕事でも、「この目標のゴールに近づくためにはどうする?」とみんなで主体的に考えながら進めているので、その点はこのときの経験が生きているのかもしれないですね。

硬式野球部マネージャー時代の石山さん。毎年恒例で行われていた夏季キャンプでの一コマ。
(提供:石山さん)

子どもたち一人ひとりを見つめて、肯定することの大切さ

入戸野:卒業後1年間は小学2年生の担任を務めていたとのことですが、教員生活を送る上で大切にしていたことはありますか?

石山:学級経営に関する話でいくと、“あたたかいクラス”にしたくて。常に居心地がよく、子どもたちが「毎日学校に通うのが楽しいな」と思えるクラスづくりを心がけていました。それを実現するために、子どもたち一人ひとりにきちんとスポットライトを当ててあげられるような、個を大切にする向き合い方を考えていました。そのように思うのは、特別支援教育を学んでいたからかもしれないですね。

低学年の場合、ちょっと苦手なことがある子どもに対して、周りの子どもがマイナスな感情をもつことがあります。その子を悪気なく避けるとか。そういうときは、怒るのではなく、苦手なことがある子のいいところを見つけてほめるようにしていたんです。すると、子どもたち同士でもお互いのいいところを見つけたり、子どもが「先生聞いて、今日〇〇くんが縄跳びできたんだよ!」と友達のよいところや頑張ったところを伝えてくれたりするようになりました。日を重ねていくうちにそのような雰囲気ができていったのはよかったと思います。

入戸野:「一人ひとりをほめて伸ばす」というお話は、マネージャー時代にも共通する部分があると感じました。

石山:いま言われてみると、確かにそうなのかなぁ。誰かが輝くためのサポートをするのが好きだというのはありますね。当時、選手みんなのことが大好きで全員に輝いてほしいと思っていた一方で、基本的には9人とか10人でやるスポーツということもあり、出場機会が少ない選手もいました。でも、ここぞという場面で普段は出場していない選手の力が必要だったりするんです。「選手一人ひとりの能力を引き出すのに、私の力が少しでも影響を与えることができたら」と考えていたので、その辺は一貫しているのかもしれないです。

“好き”を両立する、ダブルワークという働き方

山内:教員退職後の職業について教えてください。

石山:教員は地元でしていたのですが、再び東京に戻ってきました。やはりスポーツ系のお仕事をしたかったので、最初はスポーツ系のベンチャー企業で働いていました。その後リクルートに入社して、現在9年目になります。人事・経営企画・採用に関わる部署に所属していて、予算管理や役員秘書、各種会議の運営などを担当しています。

山内:アナウンサーの仕事を始めたきっかけと、やりがいや楽しさはなんですか?

石山:リクルートに入社した2、3年後くらいに、「何か新しいことをやりたいな」と思うようになって。高校・大学とマネージャーをしていた当時から場内アナウンスや式典の司会をはじめとする声の仕事が好きだったので、もう一回その仕事をしたいと考えました。でもリクルートの仕事も好きなので、「それなら両方やってみたらいいんじゃない?」と思い立ったのがきっかけです。

アナウンサーの活動をする上でのやりがいや楽しさは、その空間を私自身の声や言葉でマネジメントして、会場に来てくださった方やファンの方たちを楽しませたり、選手たちを輝かせたりできることです。あと、あるイベントでMCをしたとき、終了後に小学生の女の子が駆け寄ってきて「お姉さんの司会すごくよかったよ!私もお姉さんみたいになりたい!」と言ってもらえたことがあって。子どもたちにも夢や希望を与えられるのも、やりがいのひとつですね。

埼玉武蔵ヒートベアーズ(ルートインBCリーグ所属)のホームゲームでイベントMCを務めている様子。
本チームの専属スタジアムアナウンサーを担当している。(提供:石山さん) 

固定観念に縛られず、自分からチャンスをひきつける

入戸野:ひとつの場所にとどまらず幅広く活動されていますが、その上で意識していることはありますか?

石山:「やりたいなぁ」とビビッとくるものがあったときには挑戦するようにしています。人生一回しかないですし、失敗したらしたで仕方ないですし。やらなかったときの後悔のほうが大きいので、チャンスをどんどんたぐりよせることは大事かなと思います。

あとは、やりたいことをいろんな人に伝えることもしていますね。言霊じゃないですけど、それを覚えていてくれて「そういえば、あれやりたいって言ってたよね?」と話がつながっていくこともあるので。発信しているとそのうち何かの縁になると思います。

入戸野:現役の学芸大生に向けてメッセージをお願いします。

石山:コロナ禍でいろいろな制約があるなか、日々頑張って過ごしている学生のみなさんを尊敬しています。大変な状況ですが、今後このときを振り返って笑えるくらいに力をつけて、たくましく過ごしていってください。きっと、みなさんがこの経験を生かせる日が来ると思います。

あと、私は学生時代「最初の進路ってめちゃくちゃ大事!」「就職したらそこに一生いなければいけないのかな…」といった思いが少なからずありました。でも、いま振り返ると、いろいろな職を経験しながら好きなことができています。だから、そんなに重く考えすぎず、とはいえ思いは途切れさせず、やりたいことや「こういう人生にしたいな」みたいなビジョンをなんとなくでも描きながら、楽しく過ごしてほしいです。

学芸大学の卒業生には、教員の方もいれば、企業に就職する方も増えてきていて、さまざまな場所で活躍しています。学生のみなさんが困ったり悩んだりしたときは、助けてくれる方も多くいます。私もぜひお力になりたいなと思いますので、何かあればいつでも声をおかけください!


日本女子ソフトボールリーグ埼玉大会にてスタジアムMCを担当している場面。(提供:石山さん) 

 

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取材・編集/入戸野舞耶・山内優依