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公民館は地域住民の橋渡し役?地域まつりから広がるコミュニティ
2024.08.26
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2023.03.30
今回edumottoが取材に訪れたのは、東京学芸大学附属竹早中学校(以下「竹中」)。
はじめに、Dプロジェクト(通称Dプロ)という取り組みについて、紹介します。
Dプロジェクトとは
竹中が独自に行う「多様性の教育」に関する研究の1つで「課外活動」に位置付けられます。
目的は、学びの多様性を実現する教育実践と、そのための校内システムモデルの開発。個人の想いや願いを実現する場を設定し、周囲と協働して活動することを通して、その願いに挑戦する経験を生徒に与え、主体性の育成と生きた多様な学びを生み出す取り組みです。
Dプロの「D」は、Dream・Decide・Developの3つの頭文字を取ったもので、“生徒の「想い」「願い」を形にする”ことをコンセプトにしたプロジェクトです。
今年度活動しているのは、生徒同士でプレゼンを行って選ばれた全3チーム。毎週火曜日に、年間を通じて活動しています。9月末の中間報告会、11月の文化研究発表会(以下「文研」)、3月上旬の年度報告会は、全チームが共通して参加します。 それ以外の活動としては、外部のイベントにDプロとして任意で参加することがあります。
前編:プロジェクトチームインタビュー、後編:先生インタビューに分けてお届けします。
前編では、プロジェクト発足やDプロ参加に至るまでの想い、そして今までの活動と今後の展望などをお聞きしました。後編では、Dプロを支えるお二人の先生の想いに迫ります。
それでは、まずはプロジェクトチームインタビューです。ぜひ最後までご覧ください!
2022年度活動プロジェクトのメンバーと先生方
竹中オリジナルグッズを制作。今年度は、運動会におけるタオルと文研におけるシャープペンシルの販売を実施。デザイン・素材の選定から業者決め、注文などを一貫して担当。今後は、行事の期間だけでなく常時販売できるシステムやデジタルの導入が目標。
運動会に向けてタオルを作った背景には、新型コロナウイルスの存在がありました。3年生は夏に入学式を行った代だったため、当然運動会をはじめとするさまざまな行事も中止となりました。
これについて、「3年ぶりの運動会なので、何か思い出に残るようにオリジナルグッズを作りたいと考えました。運動会は、汗をかくのでやっぱりタオルかなと!繰り返し使えるという面でもサステナブルですし、普段使いもしやすいかなと考えました」と発案者の生徒は話します。
“中学校生活における最初で最後の運動会”。その言葉は、私たちが想像する以上に中学生にとって重たいものです。しかし、変えられない現実を前向きに捉え、自分たちの力で盛り上げようとするその姿勢に心を打たれました。
完成したタオルのこだわりポイントは2つ。1つ目は、素材を綿100%にしたところ。素材だけは譲れなかったという理由について、「綿100%は、吸水率が高いため、汗をしっかりと吸ってくれます。また、自分自身の肌が弱いため、肌が弱い人でも使えるようにしたいという想いもありました」。
決まった予算をどうやって使うかは生徒たち次第。もっと安い素材に変えて、タオルの印刷をカラーコピーにする方に予算を割くという選択肢もあるところを、あえて綿100%にしたのは、機能性と「どんな人でも使えるように」という思いやりの気持ちでした。
2つ目は、デザイン。学校全体に募集をかけて、20個近く出た案の中から選ばれたデザインは、“竹中らしさ”に溢れたものでした。
「このさまざまな形のモチーフは、今の時代に合った多様性と竹中らしさがともに表現されていると考えました。学校名もカッコよく見えるように、表記方法や字体にこだわりました」と話すこだわりの詰まったタオルは、色別対抗の運動会に一体感をもたらしました。
「運動会終了後も部活動や体育の授業などさまざまなところで愛用している人がいて、それが一番嬉しかったよね!」「私も!」と盛り上がる姿から、嬉しさが伝わってきました。
こだわりについて詳しく説明している生徒
完成したタオルのデザイン
活動の様子
お米の新しい使い方を提案し、日本の食料自給率と国産米の消費拡大という課題をみんなに知ってもらいたいという想いで活動。主な活動内容は、米粉クッキーと絵本の制作。米粉クッキーを3色にすることで、幼稚園・小学校・中学校が同じ敷地内にある「竹早」の魅力をアピールすることも目標の1つ。
なぜお米の使い方に着目したの?という質問に対して、意外な答えが返ってきました。「きっかけは、農林水産省がプリキュアを推しているという記事を見て、不思議に思ったからなんです」。
当時放送されていた『デリシャスパーティ♡プリキュア』は「ごはん」がモチーフになっているということを知り、そこからたどり着いたのが「国産米の消費量が減ることによる食料自給率への危機感」という問題。
「値段が高騰している小麦粉の代わりに使えるものとして米粉に注目しました」。着眼点も面白いですが、時事問題に目を向けている点もさすがですね。
インタビューに応じる生徒(※当日は一名欠席)
インタビュー当日、家で作ってきたという米粉クッキーを試食させていただきました。“ほろほろ”とした米粉ならではの食感がとても美味しかったです!米粉は、小麦粉よりもまとまり感を出すのが難しいそうなので、何度も試行錯誤していたことが伝わってきました。
何度も試作を繰り返した米粉クッキー
レクチャーを受けながらクッキー作りに取り組む様子
3学期は、お絵描きアプリ「アイビスペイント」を活用し、絵本制作に励んでいます。
以前Dプロの活動で、メディアセンター(図書館)にプロの絵本作家さんをお呼びして、制作のコツを教えていただく機会があったそう。「いつもは何も考えずに読んでいる本も、書き手側について知ることで見方が変わりました」と話します。
こうした学校外のつながりをはじめ、活動の決定権が自分たちにあることや、大勢の前で発表できることもDプロのやりがいだと生徒は言います。
Dプロの活動から学んだことについては、二人とも「思い通りに進まない難しさ」と口にしていました。
今後も、計画通りに進まないことがあると思います。しかし、このチームならしっかりと話し合って再び方向性を決め、前に進むことができるだろうと感じさせてくれるような頼もしいチームでした!
活動内容は、①南極について調べる②南極観測隊について調べる③語学力を高める④作戦を立てる⑤行くという5つの柱。現在は、フィールドワークや極地観測隊の隊長へのインタビューなど徐々に活動の場を拡大。今後は学芸大学との連携も期待されている。
プロジェクトを立ち上げたきっかけは、『宇宙よりも遠い場所』(通称「よりもい」)というアニメ(高校生が南極を目指す物語)を見たこと。中学生になって、何か面白いことを始めたいと考えていた時、お父さんに勧められてハマったそうです。
中心となってメンバーを集めた生徒は、「アニメにハマった中学1年生の頃から南極に行きたいと言っていましたが、やっぱり難しいと諦めてしまいました。でも、Dプロが始まると知り、これはやらなきゃ!と思ったんです」と話します。Dプロがあったからこそ挑戦できたということなんですね。
プロジェクトに誘われた時の心境について他のメンバーにたずねると、「え?南極!?本当に!?」と驚きが隠せなかったという当時のリアクションを再現してくれました(笑)。
それでも参加を決めたのは、膨らむ好奇心や、小さい頃からの憧れ、そして今が実行に移すチャンスだと感じたからだそう。
インタビューに応じる生徒
今までの活動の中でも、立川にある国立極地研究所を訪問した時のことは特に印象に残っていると言います。
「実際に南極に到達した人の話を直接聞いたり、質問に答えてもらうことはとても刺激的でした。特別に南極の氷を食べさせてもらえたのも忘れられません」。
夢が現実味を帯びる瞬間の興奮が伝わってきました。今後の活動のモチベーションにもなりますね。
南極の氷
文研に向けての発表練習
話をする中で、ある生徒がこんなことを発言しました。
「自分からどんどん発信して積極的に行動していくと『自分って思っていたよりもできるじゃん!』と思えました(笑)」。その瞳はキラキラとしていて、周りのメンバーも「分かるよ!その感じ分かる!」と共感していました。
Dプロは、「やりたい」と思ったことを実行でき、そこでの経験を通して自分の可能性に気付き、自信を持つことができる。そんな場所であると各チームのインタビューを通じて感じました。活動をすることで得た自信は、新しい挑戦の「原動力」となるはずです。
先日、来年度活動するプロジェクトが決定し、Dプロは次の章へ動き出しています。2年目のDプロにも目が離せませんね!
来年度のDプロに向けたプレ・プレゼン当日の写真
竹中生へのインタビューは楽しんでいただけましたか?
後編では、Dプロを支えるお二人の先生にインタビューを行い、先生方のDプロに対する想いに迫ります!
後編に続く……
取材・編集/松永裕香
本文中写真提供/東京学芸大学附属竹早中学校
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