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YOUは何しに学芸へ?

Vol.2 C類特別支援教育 〜学芸大生のリアル

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今年もいよいよ受験シーズンが近づいてきました。ラストスパートをかけ始める時期が近づいていますね!
東京学芸大学の受験を迷っている学生、学科選びで悩んでいる学生にとって少しでもこの記事が役に立ちますように…!
あなたも、学芸大の未来、そして教育の未来を担う一員になってみませんか?

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2人目は、特別支援教育教員養成課程言語障害教育専攻(以下C特)のちぴちゃんです!!

ちぴちゃん

C類特別支援教育教員養成課程言語障害教育専攻3年

軽音楽サークルに所属しています。趣味は、音楽を聴いたり、ドラマを見たりすることです。最近、実習に向けて手話の勉強を始めました。
なかなか覚えられずに苦戦していますが、使いこなせるように頑張ります!

学芸大を知ったきっかけと受験をしようと思った理由を教えてください。

ちぴちゃん:叔父と叔母が教員なのですが、叔父が学芸大出身のため、親戚からも教育といえば学芸大だよと言われていました。そのため、学芸大の存在は幼いころから自然と知っていましたね。
また、小学生のころから自分も教員志望でした。三人兄弟の長女ということもあり、国立大学で実家から通うことができるという点も受験の決め手になりました。高校1年生のころにはすでに学芸大を受験すると決めていて、学科は後から考えました。私には得意教科がなかったので、専門教科がなくても学べる場所があるという点は、とても魅力的だと思いました。

学科がたくさんあると思いますが、特別支援教育に興味を持ったのはなぜですか?

ちぴちゃん:小さいころ、NHKの「ストレッチマン」という番組を見ていたので、「特別支援教育」という言葉は元々知っていました。小学校高学年くらいで、将来の夢を考えたときに、自分が不器用で学校生活でたくさん苦しんだこともあって、何かしら困難を抱えた子どもたちが楽しく勉強したり過ごしたりする学級を作りたいと思うようになりました。「困難を抱えた子どもとはどういう子どもだろう」、「支えるためにはどうすれば良いのだろう?」と考えている中で、特別支援教育で学ぶことができると気が付き、この学科を選びました。

受験生時代、大変だったことはありますか?また、モチベーションはどのように保っていましたか?

ちぴちゃん:受験期に入って、模試でE判定が続いてしまったことです。実は、高校3年生で文転しました。急遽3年生の10月に社会2科目受験に切り替えたこともあり、模試では思うような結果が出ませんでした。しかし、諦めずに勉強し続けた結果、本番は今までで一番高い点数を取ることができました。諦めることは可能性を捨てることだと思っていたので、1%の可能性にかける気持ちで頑張っていました。根が頑固なんだと思います(笑)。

実際に入学してみて、C特はどのような雰囲気の学科でしたか?

ちぴちゃん:一言で表すと「あたたかい」ですね。グループワークは和気あいあいと取り組んでいる印象です。C特の授業では調査やアンケートを取る機会も多いですが、困ったときにはすぐに助けてくれる仲間がいて、みんな協力的だなと思います。人数も40人程度で、クラスのような感じです。コロナ禍でオンライン授業だったときは、zoomをつないでみんなでゲームをしました(笑)。全員の名前を把握できる規模感なので、お互いをよく知ることができていると思います。

今まで受けた中で印象に残っている授業はありますか?

副島賢和先生の病弱教育学という授業です。この授業では、病気を抱えた子どもの教育や心理について学びました。毎授業、先生の言葉が印象に残っています。そのうちのひとつに、「感情に良いも悪いもない。どんな感情も大切にね」という言葉があります。この授業を受ける前までは、負の感情をもったらいけないと思っていました。しかし、この言葉を聞いてから、自分の負の感情も相手の負の感情も大切にしようと思うようになりました。

小学校教員の免許を取得するための授業も受けていると思いますが、特別支援教育の授業との違いはありますか?

ちぴちゃん:違いよりも、むしろ各教科と特別支援教育の結びつきを強く実感することができました。小学校における各教科の指導法の授業では、「特別支援教育の視点では〜」と指導してくださる先生が多かった印象です。他学科と比較するとC特では、各教科の知識や専門性は少し足りないと感じることもありますが、「人と向き合う」ということを特に大切に学んでいると感じています。

3年生は教育実習があったと思いますが、C特での学びはどのように生かされましたか?

ちぴちゃん:特別支援教育を学んでいると、指示や板書をわかりやすくすること、発音を明確にすることなどを日々指導されます。そのため、実習で指導案を考えるにあたっても、自然と一人一人の子どもに合わせた指導を考えていました。これは、C特における日々の学びの成果なのかなと思いました。一方で、実習では全体に向けた指導を意識することも大切だったため、個別の視点と全体の視点の両方を得ることができたのはよい経験でした。

学芸大に入らなければ気づかなかったことはありますか?

ちぴちゃん:教育の難しさです。これは、教育実習を通して実感しました。自分が小中学生のときは、進んで発言できる子どもではなかったため、教壇に立ったらつぶやきにも耳を傾けて、そこから広げられる授業をしたいと思っていました。しかし、実際にやってみると難しくて…。やはり、積極的に発言する子どもに目がいってしまいました。ただ、この難しさに今気がつくことができて良かったです。
また、大学の授業では理論を学び、私が参加している学校ボランティアではそれを実践するというサイクルを通して、学校現場を深く知ることができました。これは、学校ボランティアに取り組みやすい学芸大にいるからこそできた経験だと思っています。

学校ボランティアはどのように始めましたか?

ちぴちゃん:大学1年生の時に、学芸大の学生キャリア支援室が紹介する東京学校支援機構「人材バンク」に登録をしました。入学当初はコロナ禍でしたが、そのような状況下でも何かやりたいという思いが強かったです。

学校ボランティアの経験を通して考えたことや学んだことがあれば教えてください。

ちぴちゃん:学校ボランティアに行く前は、困っている人を「助けてあげたい」という気持ちが強かったのですが、助けて「あげたい」じゃなかったと気づかされました。子どもには、助けを拒まれることもあります。しかし、すぐに諦めてしまうと本当に必要な支援が行き渡らない場合があります。たとえ助けを求められていなくても、いかなくてはいけないときもあるのだなと思いました。そういった意味で、「助けてあげたい」という考えは自己満足に過ぎず、必要な場面で必要な支援をすることが大切なのだと考えました。
また、やはり私は子どもに対する支援を行っていきたいと思いました。社会にも困難を抱えている人はもちろんたくさんいますが、子どもたちは自分でSOSを出せない場合も多く、支援につなげられないケースがあります。今後は、一人一人の子どもが抱えている問題に向き合いたいと思っています。それが教員としてなのか、心理職またはその他の職業なのかはこれから向き合って決めていきたいです。

現時点ではどのような進路を考えていますか?

ちぴちゃん:心理学を学ぶことができる大学院に進学しようと考えています。私は、通常学級にいる困難を抱えた子どもを支援したいと思っています。そこで、今の自分が受けてきた教育学だけでなく、もう少し違う視点も学びたいと考えました。指導教員の先生にも相談に乗っていただき、私が学びたいのは心理学だということがようやくわかってきたところです。

最後に受験生に向けてメッセージをお願いします!!

ちぴちゃん:とにかく最後まで諦めないでほしいというのが1番の願いです。私は、前期試験に落ちてしまいましたが、後期試験で合格しました。受験期は、周りと比べて焦ってしまうこともあると思いますが、自分の日々の成長を大切にして、昨日の自分を超えることを目標に頑張ってください!

ちぴちゃんの学芸大での日常

 

編集後記
インタビューの中で、得意科目がないことが自分の弱みだと語っていたちぴちゃんが、C特での学びを通して“特別支援教育”という専門性を身につけ、将来への道を切り拓こうとしている姿が印象的でした。インタビューを通して、あらためて学芸大の強みは、教育への扉が数多く存在することだと考えました。今回の記事を読んだ皆さんの中に、“特別支援教育”という扉を開いて教育を学ぶ人が1人でも増えてくれたら嬉しいなと思います。

取材・編集・イラスト/松永裕香

関連サイト
[脳と心のつながりから障がいを考える。平田正吾先生インタビュー]