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What Do You Think?
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2024.07.16
What Do You Think?
2021.12.10
こんにちは!編集チームの中込です。
突然ですが、みなさんはこれまでどんな校則を経験してきましたか?そして、校則についてどのように考えていますか?校則が厳しい学校もあれば、そもそも校則がないという学校もありますよね。
私の場合、中学校では校則によって厳しく制限されていたことが、高校生になってその制限が緩くなりました。たとえば、学校帰りに友だちとカフェに行ったりカラオケしたり、指定のスクールバッグから自分のお気に入りのリュックで通えるようになったり…、自由にできることが増えてうれしかったことを覚えています。
一方、編集チームの他のメンバーは、高校時代の校則の名残で、大学生になってすぐのころは、寄り道をしたり電車内でスマホを使ったりすることにためらいを感じたそうです。それほど、学生時代の校則は自然と体に染み付いているのかもしれませんね。
What Do You Think?では、教育に関するニュースやトピックを取り上げ、学芸大⽣を中⼼に、さまざまな⽴場の⽅の意⾒や考えについて紹介していきたいと思います。
その記念すべき第1回目のテーマ「校則」をお送りします!
校則にまつわるトピックの中でも、特に話題なのが「ブラック校則」です。
「ブラック校則」とは、行き過ぎた校則や指導、生徒心得、学校独自のルールなどの総称であり、一般的には髪色や下着の色など身だしなみに関する校則や、授業中の水飲み禁止などの校則が含まれています。こういった校則が「ハラスメント行為や生徒の健康を損ねる行為にあたる」というような指摘がされています。
こういった社会的状況を踏まえて、令和3年6月、文部科学省から、全国の教育委員会に対して、校則の見直しに関する事務連絡がなされました。(文部科学省HPより「校則の見直し等に関する取組事例について」)
校則について見つめ直し、新たな校則のあり方を追求しようとする動きがみられています。しかし、いまはその過渡期にあり、これからも校則と向き合い考えていく必要があります。
これまでは、「生徒だから校則を守るのは当たり前だ」と深く考えずに、少し疑問を持ちつつも校則を守ってきた人が多いのではないでしょうか。守る側だった私たちは、今度は校則を定め、運用する立場へと変化していきます。子どもや教育と向き合っていくなかで、私たちは、校則をどのように考えていくことができるのでしょうか?
そこで学芸大生にアンケートを実施し、これまでに経験してきた校則やそれにまつわる体験談、校則の意義とは何かについて聞いてみました。
今回は、あらためて「校則」について考えていきたいと思います。
今回のアンケートでは64人の学芸大生に回答していただきました。
まず、通っていた学校(小・中・高)で体験した校則について。(回答数:58人)
挙げられた校則は大きく分けて「身だしなみ」「持ち物」「その他」3種類に分類することができました。
◎身だしなみ
〇服装
・スカート丈に関するもの(スカート丈は膝丈、膝が隠れるもの、膝上○㎝まで)
・靴下の指定(長さ・色)、靴の指定、サンダル・下駄での登校禁止
・下着の色指定
・ニット、カーディガンの色指定、カーディガンの禁止(ニットのみ)
・授業中にブレザーを脱ぐときは教師の許可が必要
・リボンをつける時はボタンを全部閉める、袖まくり禁止
・タイツ、コート、ネックウォーマー、フード付きアウター禁止、指定マフラー
〇髪型
・前髪・後ろ髪の長さ指定(肩に掛かった髪は結ぶ、結ぶときは耳の下で結ぶなど)
・髪型のアレンジ(三つ編み、編み込み、ツーブロックなど)の禁止
・染髪禁止、髪色の指定、髪ゴムの色指定
〇その他
・メイク、ピアス、日焼け止め禁止、眉の加工禁止
・爪を切る
◎持ち物
・鞄の指定、指定された紙袋、ビニール袋以外の使用禁止
・名札を必ずつける
・シャーペン禁止、お菓子持ち込み禁止、キャラクター物禁止
・キーホルダーは小さい物、キーホルダーは一つまで
・制汗剤の禁止
・スマホの校内持ち込み、使用禁止
・漫画の持ち込み、金銭の持ち込み禁止
◎その他
・自転車での登校禁止、一部学区以外は徒歩通学強制
・カラオケ、寄り道、金銭の貸し借り禁止
・恋愛禁止
・アルバイト禁止、在学中の運転免許取得禁止
・廊下を走らない、他クラスに入ってはいけない、許可のない居残り禁止
・部活強制入部
学校によって校則の内容はさまざまで、制限されている程度にもばらつきがみられました。小学校から高校へと学年が上がるにつれて、校則による制限が緩くなっている学校が多いといった印象を受けました。
また、そもそも校則自体が存在しなかったという学校もありました。
たとえば「自主規制」といった名目で、生徒会と全校生徒によって規則を定めているというケースです。しかし、この「自主規制」は教員により圧力がかけられていたため、実際には校則と変わらなかったといった実態もあることが分かりました。
さらに「校則」や「自主規制」という形で定められていなくても、先輩から受け継がれてきた「暗黙の了解」や「伝統」などによって生徒の行動に制限がかけられている学校もありました。
次に「この校則はあって良かったな」「この校則はあるべきだ」と感じる校則について。(回答数:41人)
◎制服の着用
・服を考える手間が省けるから
・緊急時に身分証代わりになるから
・経済的に厳しい家庭とそうでない家庭の差を表出させないから
反対に私服でもよいという回答もみられました。
・自分の好きな服を着られるから
・高校は私服だったが、自分の着たい服とTPOとを擦り合わせ、社会人になっても通用する力を養えた
◎髪型の指定・髪染め禁止
・落ち着いた雰囲気の学校になると思うから
・清潔感の大切さを感じたから
◎スマホ使用禁止・持ち込み禁止
・スマホばかりで勉強に集中できないから
・学校内でスマホが使用できると、友だちとの会話が減ると思うから
・SNSなどを利用したスマホでのやりとりでのトラブルを防ぐため
◎その他
○ピアスを開けるのは禁止(小学校、中学校)
・ピアスを開けるかどうかは個人の自由ではあるが、子ども同士でピアッサーを用いてピアスを開けた場合、怪我につながる恐れがあると思うから
○見た目でわかる身だしなみ
・身だしなみによってその人の印象が決まると思うから。
・学校の風紀を守るため
◎あって良かった校則は特にない
・校則がなくても最低限のルールは守れると思うから
・校則を気にせず過ごしていても、校則を破ることがなかったので特に思い当たらない
あって良かった、あるべき校則として以上の意見が挙げられました。
学校の風紀を保つことを目的とした校則が多く挙げられているという印象を受けました。
特に、制服の着用やスマホの使用制限に関しては、各家庭の経済状況等を表出させないことにつながっており、全ての生徒が平等に学校生活を送ることができるようになるのだと思いました。
また、校則は、生徒をあらゆる危険から守る役割があるとも感じました。ピアスを開けることの禁止やスマホの使用制限などにより、怪我やトラブルに巻き込まれることを防ぎ、生徒の安全面を保障することにつながるのではないかと思います。
次に「この校則はなんであるんだろう」「この校則に物申す!」と感じる校則(実際に体験していない校則も含む)について。(回答数:60人)
◎下着の色は白または指定
校則に対するマイナスな意見として最も多く挙げられました。
なかには校則の取り組みのひとつとして、下着の色をチェックするところもあるそうです。
◎靴下の指定
・色は白、長さはくるぶし上で無地なもの
・派手なものは禁止
◎身だしなみや持ち物
・髪を結ぶ位置の指定
・特定の髪型禁止または髪型の指定
・携帯持ち込み・使用禁止
・小学校のシャーペン禁止
・シーブリーズなどの制汗剤禁止
◎特になし
・学生である以上、校則は守るべきだと考えるから。
あってよかった、あるべき校則の回答と比較しても、「この校則はなんであるんだろう」「この校則は必要ないのではないか」といった、校則に対して疑問や疑念を抱いている意見が多く挙げられました。なかでも圧倒的に身だしなみに関する校則への不満が多くみられました。
校則を守るために学校ではどんな取り組みがなされていたでしょうか。(回答数:46人)
◎スカート丈チェック
◎頭髪検査(1ヶ月に1回)
◎風紀委員会の挨拶運動
◎服装検査
服装検査では、生徒が登校時に通る正門で教員がチェックしたり、全校集会などの場で行ったりということがあったようです。
校則を守るだけでなく、見直し改善しようといった取り組みがされている学校もありました。多くの取り組みは、生徒会が主体となり学校や先生に対して、校則の見直しに関する働きかけを行っていました。結果として、「スマホ使用禁止」の撤回や毎年行われる教育懇話会(生徒会と先生と保護者が校則について話し合う機会)において、実際に規制の緩和につながった学校もありました。しかし、以下のような意見もみられました。
「生徒総会での校則に関する異議申し立てによって、提案はできるものの採用までに至ることはほぼなかった」
「中学の時に服装の校則を生徒会主体で“○○中ルール”のように変えた。生徒会主体という形だったため、理不尽なものであっても、生徒が話し合って決めたでしょ?と教員から言われかねないような形になってしまっていた」
このように、生徒らが不満を抱える校則の改善のための働きかけは実施されているものの、実際に校則の見直しや改善に至ったケースは少ないという状況が見えてきました。
最後に校則の意義について、ここでは、大きく3つの意見に分かれました。
◎社会に出たときに、ルールやマナーを守れる大人になるため
社会には、秩序や規律を保つためのルールやマナーがあります。校則は、私たちがそういった規則の下で生活しているといった意識を潜在的にもたせ、ルールを守ることそのものの訓練のひとつであるという意見が挙げられました。
「社会のルールを学生のうちから理解し、それらを実践していくべきである。そのため、社会で通用しているルールは校則に入れるべきであり、社会では自由とされているものは校則に入れなくても良いと思う」
◎全ての児童や生徒が安心・安全に学校生活を送るため
学校における秩序を保ち、全ての児童や生徒が規則正しく、平等に、安心して生活できるために校則は必要であるといった意見も挙げられました。
◎学校のイメージを守るため
制服を着ている以上、学内、学外を問わず、学校の生徒だと名乗っていることになる。そのため、学校が不適切と判断する行動を校則によって規制する必要があるといった意見が挙げられました。
◎その他
その他に、「勉強に集中するため」「組織の一員であることを自覚してもらうため」といった意見もありました。
また、「校則自体必要ないのではないか」といった意見もいくつかありました。
「高校は暗黙の了解はあったものの校則はなく、それで特に不便はなかったため(なんなら自由でよかった)校則の意義は見いだせない」
「(校則は)必要ないと思います。個性を大切にと大人がいうなら校則で縛ったら個性も何も出ないと思うからです」
上記に取り上げた意見とは少し異なる角度からの意見もみられました。
「ある程度の生徒の自由を保障するための義務みたいなものだと思う。学校という「場所」を確立するためのものだと思っている。わかりやすくいうと公私を分けるための校則なのかなと思っている」
「教員が考えるなんらかの”目的”を果たすために存在している。実際にその”目的”が比較的正しいと言えるものであり、そして”手段”と”目的”を取り違えていないなら意義があるとは思う(実際の学校現場でそうなっているようには思えない)」
「校則」という仕組み自体に対して、否定的な意見は少数でした。あってよかった、あるべき校則として挙げられていたものの理由にもあったように、学校全体の秩序を維持するための校則や、社会に出たときに必要なルールを身につけるための校則などは必要であるといった意見が多くみられました。
しかし、実際に校則を変えていこうとする動きがあったように、「校則」の内容(特に身だしなみに関するもの)に対して疑問を感じている人も少なくないということがわかりました。
<まとめ>
アンケートから、校則についてさまざまな体験談やご意見をお聞きすることができました。
あって良かったと思う校則がある一方で、「なんとなく校則を守っていた」「何のための校則なのか分からない」といった意見も多く見られました。
また、校則を守るために学校全体で取り組みが行われている学校がある一方で、校則を見直す機会があったとしても実際に変更には至らなかった学校もありました。校則に関する取り組みについても、学校によって状況が異なっていることがわかりました。
この記事のタイトルにもあるように、校則は私たちを縛っているというイメージがあるのと同時に、私たちを守るためにあるということも事実です。校則について見つめ直す機会は、教育というフィールドでこれからの未来、そして目の前の生徒と向き合っていく上で、必要なのではないでしょうか。
今回のアンケート調査を通して、生徒側の意見だけでなく、校則を定める学校側の視点、さらに社会や歴史といったさまざまな側面からもっと校則についてアプローチしていきたいと思いました。
そこで、次回からはさまざまな視点から校則について深掘りしていきたいと考えています。
次回もお楽しみに!!
取材・編集/中込陽菜・K.I・五十嵐朝陽
イラスト/津波古薫
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