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学芸大学附属高等学校 無重力探究ラボ「好奇心 この一点が原動力」
2023.06.01
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2022.09.06
終戦から77年。戦争体験者が年々減る中で、「戦争体験者の声を次世代に伝えることの難しさ」が教育現場でも話題となっています。戦争体験者の声を直接聞いたことがある世代として、平和教育について考える責務があるのではないでしょうか。
とはいえ、経験したことのない「戦争」がどれほど悲惨なものであったのか、日常生活にどのような影響を与えたのか、どのような思いで生活していたのかを教え、伝えることは難しい…。
そこで、教壇に立ったとき、戦争をどのように考え、教えていけばよいのか、学芸大生が真剣に考えます。
未経験の「戦争」を教えることは難しい。「戦争で街が焼け野原になり、多くの人の命が奪われた。戦争は二度とあってはならないものである」と分かっていますが、それ以上広げることができないのです。第三者の視点で遠くから戦争を見ているためかもしれません。そのような「戦争を知らない私たち」が教壇に立ったとき、戦争を教えることができるのか、どのように戦争を伝えていけばよいのか、「知らないことを教える」ことに不安を感じています。
「戦時中、子どもたちはどのような学習をしていたのだろう」
「私たちが子どものころと同じように遊んでいたのだろうか」
「何を食べていたのだろう」
「空襲警報が鳴ったとき、どのような気持ちでいたのだろう」
戦争について考えているうちに、戦禍の恐ろしさは知っていても、「戦時中どのような『日常』があったのか」について知らないことに気が付きました。そして、「戦時中の生活や子どもたちの気持ちについて知ることができれば、戦争をより近くから見ることができるのではないか。戦争を『自分ごと化』することで、新しい教材研究の視点が得られたり、授業を設計できたりするのではないか」と思い始めました。
戦争体験者のお話を聞きたい思っていたとき、大﨑博子さん(89)のTwitter〈@hiroloosaki〉の投稿を見つけました。
戦争勃発した頃のお話、臨時召集令状のお話、疎開のお話。投稿には、教科書にはない「戦時中の『日常』」が書かれていました。『日常』について知りたい。戦争を自分事化したいと思った私たちは大﨑さんにお話を伺うことにしました。
「当時は、家でお手玉・けん玉をして遊んだり、外で友だちと遊んだりしていたわ」
戦時下においても、今と変わらない『遊ぶ』という日常を見つけました。『お国の為に我慢』、『家族と離れて疎開』など子どもたちの悲しい話を聞くことは度々ありましたが、子どもたちの生活には現代と変わらない『遊ぶ』という共通点があることに気が付きました。
一方で、私たちには『非日常』に感じられる当時の『日常』のお話も伺いました。
「放課後、おやつがわりにカエルを食べていたわ」
「水をくむのも外。ご飯はかまどで炊いて、お風呂も水をくんで燃やしていたの」
「砂時計を見ながら電話していたわ。今は、LINE電話があるから、長電話もできるし、海外にいる娘と国際電話もできる。娘との電話は元気の源です」
おやつとしてカエルを食べているとき、どのような気持ちだったのでしょうか。冬、お米を研ぐ時、どれほど冷たかったのでしょうか。なかなか会えない人と短時間しか話せないのは苦しくなかったのでしょうか。
大﨑さんのお話の中には、私たちの生活との共通点、相違点がありました。戦争の『日常』を知り、戦時下における『子どもの日常』と私たちの『日常』を比べてみることで、戦争を少し『自分ごと』として見ることができるようになりました。
(写真提供:大﨑さん)
前編では、知らない不安と向き合い、戦争中の『日常』について考えました。後編では、子どもたちが戦争を『自分ごと化』するためにはどうしたら良いか、戦争をどのように教えていくかについて考えていきます。後編もどうぞご覧ください。
(後編につづく)
編集/松田千皓、大島菜々子、佐藤晴、千葉菜穂美、片山なつみ
イラスト/片山なつみ
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