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皆さん、学芸大学には大学院があることを知っていますか?今回は、東京学芸大学大学院教育学研究科に所属するウォンさんにインタビューをしました。学芸大学の大学院には、教職大学院と修士課程があります。ウォンさんは教育学部のA類情報教育選修から、修士課程の教育支援協働実践開発専攻教育AI研究プログラムに進みました。学芸大学には「将来的に教育に携わりたい」と考える学生が多くいますが、そのための進路は教員だけではなく、一般企業や教育支援職への就職や研究者など、さまざまです。今回は、数ある選択肢の中の一つ、「大学院」を選択した学芸大生の生の声をお届けします。皆さんの視野が広がるきっかけになったら嬉しいです!
ウォンさん
大学院教育学研究科教育支援協働実践開発専攻教育AI研究プログラム2年
教育AIに情熱を注ぐ大学院生。
サウナ、岩盤浴、料理、運動、ツムツム…と趣味にも全力で取り組む。
なぜ学芸大学教育学部のA類情報教育選修(現在のB類情報コース)を選んだのですか?
ウォンさん:趣味として、ピアノをずっと弾いていたいという思いから、ピアノがある職場に憧れていました。いろいろな教科に携わる小学校教諭になればそれが叶えられると思い、漠然と教師を目指すようになったのが始まりです。また、私が通っていたのがICTの導入が進んだ高校だったため、情報という科目には新鮮味や面白さを感じていました。
教員養成大学で、情報教育を専門に学びたい。私の“好き”を全て叶えられる場所が、学芸大学でした。
修士課程の教育支援協働実践開発教育AI研究プログラムで研究をしようと思った理由は何ですか?
ウォンさん:きっかけは学部時代の教育実習でした。子どもたちの成長を目の当たりにし、教員という職業に魅力とやりがいを感じました。その一方で、大学の授業で学んできた理想の教育の在り方と現場とのギャップも知り、「教育現場の環境を変えたい」という思いに拍車がかかりました。具体的には、働き方改革やICT化、情報教育の推進などです。明確になったこれらの課題を解決するためには、自分が理想とする情報教育や最先端の技術をもっと研究する必要があると考えました。
どのような試験を経て、大学院に進学しましたか?
ウォンさん:情報関連の専門用語の意味や自分がやりたい研究内容について問われる筆記試験と、英語の長文読解、面接でした。大学の受験と違うのは、がつがつ勉強するというよりは、なりたい自分を明確にすることや、その分野の動向をしっかり知っていることが重要視される試験だという印象です。
目標や今後の方向性を定めた上で、進学を希望したのですね。では院生になった今、どんなことを研究しているのか、具体的に教えてください!
ウォンさん:AIの導入に着目し、よりよい教育の実現を目指した研究です。教育支援協働実践開発では教育AIを開発したり、既に開発されたものを実際に現場に導入し、その評価を解析したりします。
私はソフトウェア開発を専門としているので、大学でのソフトウェア開発の授業で使用するAIについて取り上げています。授業における評価ではチームでの成果物に注目することが多いですが、私は、その中で個人がどのような学びをしていたか、といった評価方法こそが大切だと思っています。AIを活用すると、見落としがちな情報であるプログラミングの操作やチーム内の会話の履歴などから、より具体的に教育効果を可視化できるんです。これが実現できれば、今後あらゆる授業で子供達の学びを手助けできるのではないかと今からわくわくしています。
大学院で研究しながら、高校で非常勤講師として働いているとお聞きしました。実際に現場に出て感じたことはありますか?
ウォンさん:私には教育現場そのものを変革するという理想がありましたが、根付いた環境や文化を変えることは、やっぱり難しいことなんだということを改めて実感しました。でもそんな現実を目の当たりにしたことで、専門性のある人材の導入、教師の負担軽減など、目を向けるべきはっきりとした目標ができたんです。
もちろんプラスの面もあります。行事などを通じ、日々、生徒たちの青春の伴走者となれていると感じられること。これは教師だからこそ見られるかけがえのない景色だなと思っています。
今後の進路について教えてください!
ウォンさん:実はまだ迷っているんです。
高校の情報科教諭として働きたい気持ちもありますが、学校の組織作りから変えたいという思いも強いです。教師の働きやすさや、よりよい情報教育の在り方を探るために、情報科と親和性の高いビジネスの現場への就職も選択肢の一つとして考えています。
教育に携わりたいと考えている学生に向けて、最後にメッセージをお願いします!
ウォンさん:まずは夢中になれるものを見つけてほしいです。教育関係の職業に就くと、多様な価値観に触れることになります。だからこそ、多くの引き出しや経験を持っていることは、将来にわたって自分の強みになるはずです。そのための一番の近道は、何かに一生懸命になることだと思います。
あとは、自分に自信を持ってほしいということを伝えたいです。IBMの創業者トノス・ワトソンさんの「教育に飽和点はない」という言葉のように、ゴールを目指すのではなく、学び続けるのが教育という分野です。自分のやり方は正しいのかなと不安になったり、非難を浴びたりすることも時にはあるでしょう。私は、先日講演してくださった栗山監督のインタビューに参加しました。「非難を浴びても、それは一部の意見にすぎない」という監督の言葉を耳にして、それが自分の経験と重なりとても納得させられました。前に突き進んでいくためにも、自分自身のメンタルを保つためにも、自らを信じることは大事だと強く思います。
学校現場をもっと良いものにしたい。インタビューは、教育を愛するウォンさんのゆるぎない決意が伝わってくるような時間でした。
「教育に飽和点はない」。ウォンさんが心に留めるその言葉の通り、教育に最終地点はなく、その関わり方は人の数だけあります。どんな道に進んでいくとしても、全力で考え抜いた日々は、必ず将来の糧になるはずです。学芸大学で沢山の経験を積み、自分なりの“教育”を見つけたい!「YOUは何しに学芸へ?」では、これからもそんな皆さんの思いを応援していきます。
次回以降も、私たちが「どんなことを学ぶの?」と興味を持った学科を紹介!お楽しみに!
取材・編集/赤尾美優・今井咲良
イラスト/伊波瑠音
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