教育の未来
TES2024学生代表の髙橋鈴さんにインタビュー! ~いま、私たちが魅せたい「教育」の姿~
2024.10.04
教育の未来
2024.11.01
2024年10月12日(土)、13日(日)に東京学芸大学を会場に開催されたTokyo Education Show 2024(以下、TES2024)。私たちedumottoは、各日3回にわたって「edumottoメンバーと語ろう」と題してワークショップを行いました。この記事では、1日目に開催された「motto語ろう教科担任制」と2日目に開催された「motto語ろう部活動のこと」について、ワークショップを企画したedumottoメンバーの感想とともに振り返ります。
ワークショップの様子
1日目は「小学校の教科担任制」をテーマにワークショップを行いました。この回には、教職を目指す大学生や現職の先生、教育現場に関わる企業の方など、さまざまな立場の人が参加しました。
教科担任制と一口に言っても、中学校のような完全教科担任制、特定教科においてのみ教科担任制を導入する方式、学級担任間で授業を交換する方式など、さまざまな形があります。これらの情報を共有した上でディスカッションを行いました。
ディスカッションでは、完全教科担任制を経験した現職の小学校の先生からこんな発言がありました。
「自分の担当科目は理科なので、授業があるのは1クラスにつき週に1回程度。担任しているクラスの子どもと関われるのは、朝の会と給食の時間、帰りの会だけ。彼らは週に4回授業がある国語の先生の方を身近に感じていた。自分はこれでもこの子たちの担任なのか、と心が折れそうになった」
現場の声から、教員のモチベーションへの影響という見えにくい部分の課題が浮き彫りになった瞬間でした。この声が上がったことで、議論は教科担任制の是非から、どのような方式の教科担任制であれば児童と教員の双方が幸せになれるのか、という方向へと展開していきました。
「motto語ろう教科担任」企画者 内山詩園さん
私は今回のワークショップを行うまで、自分のイメージとインターネットの情報から、教科担任制を導入することは先生にとってメリットが大きいと思っていました。そのため、子どもとの関わり方や担任の存在意義に関する悩みがあるということに驚きました。今回のワークショップではこの他にも、教育現場と世間のイメージのギャップに気づく場面が多かったように感じます。
ワークショップの様子
2日目は「新しい部活動のカタチ」をテーマにワークショップを行いました。この回には、学芸大生を中心に大学生が多く参加しました。
参加者はアイスブレイクの後に、各々の部活動にまつわるエピソードを共有しました。同じ「部活動の思い出」であっても、地域や学校、世代によってその内容はさまざまです。それらの楽しい思い出からは、部活動が担う役割の幅広さが伝わるとともに、その裏にある教師の働き方や部活動の在り方に関する問題も浮かび上がりました。
次に、海外の部活動やクラブ活動の事例が提示され、部活動の新しいカタチについてのディスカッションが始まりました。年齢関係なく参加できる地域のスポーツクラブがあるドイツの事例を知った参加者からは、「そういったサードプレイス的なものが日本にもほしい」、「学校と部活動が切り離されたら、学校に行く楽しみが減ってしまう」などという声が上がりました。
日本では学校生活の一部になっている部活動。私たちが思っている部活動の当たり前も、国や人が違えば当たり前ではありません。各々が持つ当たり前を共有することで「それってどういうこと?」「もっと詳しく知りたい!」と議論が盛り上がりました。
「motto語ろう部活動のこと」企画者 平川璃空さん
このワークショップの目的は、問題を解決するような画期的な方法を見つけ出すことでもなければ、立てられた問いに対して正誤をはっきりさせることでもありません。私が大切にしたかったことは、「当たり前だと思うことに疑問を抱くこと」です。もちろん、日本の部活動には問題とされていることだけではなくて、魅力もたくさんあります。良いところも悪いところも、一度疑問を抱いて考え直すことが、何か本質やおもしろさに気が付くきっかけになるのではないでしょうか。
ワークショップ参加者の感想(一部抜粋)
今回印象的だったのは、ワークショップが終わった後も話し込む参加者が多くいたことです。中には連絡先を交換し、また話そうと約束する大学生の姿もありました。
小学生からベテランの先生まで、さまざまな立場の人が自分の当たり前を共有すること。他者の「当たり前」を知り、自分の「当たり前」を見つめ直すこと。そこから次々と対話が生まれていく様子を目にした2日間でした。今回生まれたmotto語りたいという気持ちが、「当たり前」を再構築していく原動力になることを願います。
今年のTESの目標は「全員主役」。それは、異なるコミュニティに属する全ての人が主役となり、対等に意見を伝えあえるということだと思います。今回のTESで生まれた「つながり」を活かして、これから先、もっと質を高くして、他の話題も扱いながら、教育をおもしろくするワークショップを作っていきたいです。
取材・文/ 岩田有紗・内山詩園・平川璃空
ロゴ画像提供/Tokyo Education Show