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若者の引きこもりや高齢者の貧困、地方の衰退……。一人では困難な問題と向き合って助け合いながら解決を目指すのが福祉だ。現場ではさまざまな取り組みが展開されているが、E類ソーシャルワークコース3年生の嶋あずみさんは「自分で何かできることはないか」と考えた。困っているのは日本だけではない。嶋さんは、手がかりを求めて韓国の現場に足を運び、東南アジアへ、そしてもっと広い世界へと視野を広げようとしている。
嶋さんが目指す「ソーシャルワーカー」とは、生活に困難を抱える人(クライエント)を支援する仕事だ。福祉や教育、医療、介護などの現場で個人の問題を社会の問題として多角的に捉えて解決していく役割を担っている。クライエントの要望に対して多角的に働きかけていくためには広い視野が求められることを、嶋さんは大学1年生の講義で学んだ。
もっと福祉に対する視野を広げるには、どうすればよいか。悩んでいたある日、大学の知人と話す中で、「JENESYS 2024 大学生訪韓団」について知った。もともと韓国の文化に興味があり、韓国の福祉事情や課題についても体感したいと思い応募を決めた。
渡航したのは2024年9月。嶋さんは訪韓団のプログラムを通して、韓国のさまざまな団体の活動を見学した。「Commonz Field 春川」は、市民がイニシアチブをとる活動と革新的なアイディアを組み合わせ、地域社会に貢献する地域社会革新センターである。気候変動や環境問題の課題解決に勤しむ団体、地域活性化に取り組むグループや、青年のメンタルケアを行う社会的企業。地域の人が自ら積極的に、社会課題の解決へ取り組んでいた。
Commonz Field 春川
現地を訪れたことで、日韓には共通する社会課題があることに気づいた。少子高齢化や地方の過疎化、若者の引きこもりや高齢者の貧困、といった課題が山積している。もちろん、状況は全て同じではないが、嶋さんは「韓国での取り組みを生かせる可能性がある。新しい世界に身をおくことで、現場で困っている人のためにできることは、たくさんあることに気づいた」と話す。
訪韓団を通して、多様な価値観に触れることができた嶋さん。訪韓団を終えた後も、SNSを通して現地の友人と交流を重ねている。韓国をより一層理解するために、春休みに再び韓国を訪れた。さらに足をのばして東南アジアも長期休みを利用して巡った。
嶋さんが訪れたマレーシア クアラルンプールのアロー通り
日本と似たような社会課題を持つ国は世界にたくさんあると気づいた嶋さんは「いろいろな人と出会うことで、自分が見たことの無い社会を学ぶことができる。日本では解決困難な社会課題も、さまざまな国を訪れることで、解決のヒントを探ることができるかもしれない」と話す。よりよい福祉を求める旅は、まだまだ続く。
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取材・編集/久慈 浩聖
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