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みちしるべ

おしえてE類の卒業生!教育支援職のキャリア②【キャリア支援課コラボ】

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「教員以外の道に就職した人たちってどんなことしてるの?」
「教育支援課程の学びは仕事にどう生きるの?」
「E類所属だけど、将来のビジョンが見えなくて不安……」

東京学芸大学には、教員以外の道で教育に携わる人々を育成する「教育支援課程(通称E類)」もあります。今回は2025年に2回にわたって開催された『教育支援課程の卒業生が語る オンライン キャリア・トーク』から、3人の卒業生の声をお伝えします。

— この記事は約10分で読めます。

生涯スポーツコース→株式会社クレーマージャパン

北村一真さん
小学生では野球、高校からは陸上スポーツで活躍し、在学中は陸上競技部に所属。卒業後、スポーツメーカーのクレーマージャパンに就職し3年目。東京の学校をターゲットに、部活動のスポーツウェアや体操着販売の営業を担当。

「恩返しがしたい」という想いでスポーツを支える側へ

Q1. 就職先の決め手は?

北村さん:プロスポーツの世界に進むことも考えましたが、「お世話になった人へ恩返しがしたい」という想いがキャリアを決める原点でした。その背景には、これまで野球や陸上をやってきて、たくさんの人に支えてもらったことがあります。
クレーマージャパンを知ったのは、中学で所属していた陸上競技部で、クレーマージャパンの商品を使っていたことがきっかけです。陸上競技部での経験を強みとして生かしたいとも感じ、就職を決めました。 

会社員の立場で部活に「恩返し」

Q2. 仕事で最近達成できたことは?

北村さん:かねてからの目標だった「陸上競技部のユニフォームを変えること」です。「今のユニフォームを昔使っていた色に戻したい!」と思っていたのですが、大学規模となるとそう簡単には変えられなくて。
だけど今回、営業の担当地区が東京になったこともあり、顧問の先生に「うち(クレーマージャパン)ならできますよ」と相談したらオッケーが出て、ウェア一式を会社が提供できるようになりました。

トレーニング指導は教育支援

Q3. 教育支援課程に入ってよかった!と感じるエピソードは?

北村さん:営業の一貫で、学校に訪問し子どもたちにトレーニング講習を行っているのですが、そこで「教育支援」との関連性を感じています。 
講習の内容はラダートレーニング(はしごのような形の器具に足を素早く入れる運動)やSAQトレーニング®(スピード、敏捷性などを鍛える)の指導で、そこでの子どもとの関わりには教育的視点が必要です。たとえば、声を発するのが苦手な子も、発せないなりに頭の中で考えています。どんな指導をしたら良いのか考えて、子どもに寄り添う力はまさに教育支援と直接結び付くと思います。 

民間企業でのスキルを「教育現場」に

Q4. これからのキャリアビジョンは?

北村さん:教育支援職の魅力の一つは、キャリアの幅の広さだと思います。将来的には、民間企業で教育支援職として働いた経験を、高校生の進路指導などで生かす仕事にも挑戦してみたいと考えています。

生涯学習・文化遺産教育コース→新潟県庁

加藤彩水さん
在学中は教育系サークルむぎのこで活動。2024年に卒業後、地元に戻り新潟県庁に就職し、生涯学習推進課に所属。社会教育関連団体の補助金の交付に係る業務や、生涯学習・社会教育に関する後援業務などが中心。

在学中に見つけた就職の軸

Q1. 就職先の決め手は?

加藤さん:いろいろな分野の子育て・学習支援がしたい」と感じたのが原点です。
大学時代、県の子育て支援に関心があり、夏のインターンシップで地元の新潟県庁に行きました。そこで子ども食堂やフードバンクを学ぶ機会があり、教育・福祉の視点から、「大学での学びを生かして困難を抱えている子どもたちをサポートしたい、それを実現できる県庁で働きたい」と考えるようになりました。

場所を活用して面接スキル向上へ

Q2. 就活の攻略の秘訣は?

加藤さん:夏・冬に開催されたインターンシップや、キャリア相談会にも積極的に参加するようにしました。
あとは、面接の練習で苦労されている方も多いのではないでしょうか。私は大学のキャリア支援課、民間企業の公務員講座、東京仕事センター多摩で模擬面接を行いました。仕事センター多摩の模擬面接は無料で受けられたのでおすすめです。私自身話すことが苦手であるため、「笑顔第一」を意識しました。面接の本番の時点で、生涯学習推進課に所属したいことをアピールするようにしました。

コースの学びは仕事の基礎に

Q3. 教育支援課程に入ってよかった!と感じるエピソードは?

加藤さん:在学時、社会教育の講座企画をたくさん実践できたことがよかったです。グループワークの経験もたくさん積むことができましたが、これらはどのような分野でも大いに役立つものだと思っています。あとは資格を4つ(社会教育士、学芸員、図書館司書、学校司書)取得するために、実践的に学ぶことができた点ですね。この学びは現在、仕事の知識として役立っています。

「一生学ぶ」をもっと社会へ! 

Q4. これからのキャリアビジョンは?

加藤さん:生涯学習コースを卒業したからには、子どもからお年寄りまで、楽しみながら学び、事業に参画できるような企画に取り組みたいです。県庁には異動があるので、配属されたいろいろな課で提案したいですね。そして、まだまだ知名度が低いと感じる「生涯学習」という概念を広めていきたいです!

ソーシャルワークコース→さいたま市北部児童相談所

村山有紀さん
在学中は和太鼓サークル「結」に所属。社会福祉士の資格を取得し、埼玉県庁に入庁して6年目。現在は児童相談所で児童福祉司として勤務。子どもや保護者からの相談に応じ、関係機関の連絡調整、必要に応じた支援や指導業務を行っている。

地元で住民を支えたい

Q1. 就職先の決め手は?

加藤さん:漠然と「人と関わりたい」という思いがあったのが原点です。卒業時に社会福祉士の国家試験を受けて、医療ソーシャルワーカー(医療機関で患者や家族を支援する専門職)か、自治体の福祉職を目指すか迷いました。公務員試験を受験する決め手になったのは、ゼミの先輩からの話や、地元であるさいたま市が好きという2点でしたね。

自分を「俯瞰する」面接練習

Q2. 就活の攻略の秘訣は?

加藤さん:私の場合、大学卒業時に社会福祉士の資格取得のために国家試験もありました。公務員に福祉職で就職する子が同期に多く、一緒に勉強していました。
面接も同期と練習して、自分を客観的に見れるように録画したり、お互いにフィードバックしたりしました。それによって、「話している時、思いの外無表情だったんだな」と気付くことができましたね。 
面接対策は、面接官から「学芸大学なのに教員にならないの?」と聞かれたときのために、自分のコースのアイデンティティというものを、大学4年間よく考えていました。面接までに正解は出せませんでしたが、「私は自分と向き合って、同期や先生と話して、どのように悩んで、現在はここまで考えています」ということを伝えました。

卒業後も心強い! 学芸大学の先生とのつながり

Q3. 児童相談所での仕事はいかがですか?

加藤さん:異動初年度ということもあり、苦労の連続ですね。入庁後最初に配属された区役所の福祉課では、生活保護の現業員(福祉関連の職員を表す)として、今所属している児童相談所では子どもや保護者からの相談に応じる業務をしていますが、さまざまな事情を抱える家庭があることを改めて認識しています。仕事をする中で、精神的にきついと感じることも少なくないですが、ゼミの時お世話になった露木信介先生に相談できるつながりがあり、とても助かっています。

教育支援職に就くと、卒業後も先生からのサポートを受けやすいメリットもあるのですね。

働きながら自分を見つめ直す

Q4. これからのキャリアビジョンは?

加藤さん:キャリアビジョンとはまた違うかもしれませんが、「自分が社会にどう貢献できるのか?」を考えていきたいです。先輩の女性職員の働き方を近くで見ていると、生活と仕事のために取捨選択しなければならない場面もあると感じることがあって。「働いている間、自分がどう役立てられるのか?」という想いが、女性のキャリア向上にもつなげられたらなと考えています!

 

編集後記

いかがでしたか。
E類で得た学びや先生とのつながりは、卒業後のキャリアにも大きく役立っています。 この記事をきっかけに、現在E類に所属する学生のみなさんが教育支援職の就職に関心を持ってくれること、そして高校生のみなさんがE類への入学を選択肢の一つに考えてくれたら嬉しく思います。

 

教育支援課程の卒業生が語る オンライン キャリア・トーク第一弾の記事はこちら

おしえてE類の卒業生!教育支援職のキャリア①【キャリア支援課コラボ】

東京学芸大学キャリア支援課のWEBサイトはこちら

 

執筆/ 居倉優菜
取材協力/キャリア支援課